院長談

2014年7月22日 火曜日

熱中症について①



こんにちは。院長の山中です。

本格的に夏になってきましたね。
この時期に気を付けたいのが熱中症です。

熱中症は暑熱ストレスによって高体温・脱水症状を起こし
最終的に循環不全や多臓器不全となり死に至るとても恐い病気です。


犬は人間と違い人が暑い時に出るサラサラの汗を出す
エックリン汗腺(犬では足の裏にあります)が少ないため
ハアハア呼吸をし気化熱によって体温を下げようとします。

しかし高温・高湿度の外気の中ではほとんど体温は下がりません。
むしろ呼吸を一生懸命することにより体温は上がってしまいます。
暑いからハアハアするが体温はかえって上がりさらにハアハアする
という悪循環になり短時間のうちに熱中症を起こしてしまいます。

ちなみに人間は多量に汗をかき汗が蒸発するときに奪われる熱(気化熱
を利用して体温を下げています。
これは水分と電解質を多く失いますが体温を下げる
能力としてはとても優秀です。
この能力に加え他の動物と比較して体毛が少なく手足が長く
スリムな体型をしているため熱の発散が効率よく行えます。
このため人間の耐暑能力はかなり高く
人が熱中症を起こすような環境では
犬はもちろん猫でも熱中症を起こします。

 

フルマラソンを2時間3分23秒で走り切る人間と
何もしていないのにハアハアしているチワワ。

人はスプリンターとしては優秀ではありませんが(自分はチワワにも勝てません)
トレーニング次第では動物にも負けない長距離ランナーになる事が出来ます。

話がずれてきたため続きは次回に...

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2014年7月17日 木曜日

猫の飼い方⑤ 生活環境について

こんにちは
院長の山中です。



今回は猫の生活環境(室内or野外)です。

病気やケガの事を考えるとできれば室内で飼ってあげたいところです。

まず野外では交通事故に逢う危険性があります。
(皆さんも車の運転中に突然ネコが飛び出してきてビックリしたとこがあると思います。)


また他の猫とケンカをしてしまうこともあります。
ケガだけならいいのですが病気をもらってしまうことがあり、
特に猫白血病ウイルス(FeLV)や猫エイズ(FIV)に
感染してしまうと命に関わります。



ケンカをしなくても
猫汎白血球減少症 通称猫パルボともいいいパルボウイルスにより
嘔吐・下痢・白血球減少を起こす、伝染力・死亡率ともに高い病気
猫伝染性鼻気管炎 ヘルペスウイルス1型による角結膜炎や上部気道の炎症
カリシウイルス感染症 カリシウイルスによる上部気道炎・肺炎・結膜炎・口腔内潰瘍・関節炎
クラミジア Chlamydophila felisによる結膜炎や肺炎
といった感染症を他の猫からもらってしまったり
回虫や条虫などの各種寄生虫に感染することもあります。




外飼いが絶対ダメと言ってるわけではありませんが
上記等々の理由から室内飼育をお勧めします。



ただ、言っていることと矛盾しますが、
最近は完全室内飼育の子が多くなってきたため
きしめんのようなマンソン裂頭条虫(長い‼)や
脱腸したといって連れてこられる
お尻から寄生虫がたれさがっている猫
が少なくなり寂しい限りです。


写真はマンソン裂頭条虫です。

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2014年6月30日 月曜日

猫の飼い方④


こんばんは。院長の山中です。



今日は猫のトイレについてです。


猫は特にしつけなくても
箱と猫砂があればそこでしてくれるので
犬に比べればとても楽です。



トイレの箱も猫砂もいろいろなタイプがありますが
片付けやすく衛生的なもので猫の好みにあえば
基本的には何でもいいと思います。
猫好き多頭飼育の I 先生はプラスチック製の衣装ケースを使っているそうです。
(太った猫でもゆったり用が足せます。)




ただ、尿の観察ができるとうい点では固まる砂ではなく
下にトレーの付いたものがいいと思います。

このタイプは尿が砂に吸収されず下に落ちるので
血尿(ネコはよく膀胱炎になります)のときに
気付きやすくなりますし、トレーのペットシーツを抜いておけば
尿を採取することもできます。

これで結石や尿糖の検査ができるので
病院で簡単には尿を取らせてくれない
病気持ちの猫ちゃんにお勧めです。



いずれにしてもトイレはできるだけキレイにしてあげましょう。

猫はトイレが汚れていると違う場所で排泄したり
トイレを我慢することによって膀胱炎や便秘の一因となることもあります。

また猫が頻繁にトイレに行くときは要注意です。

膀胱炎を起こしていたり、
雄猫では尿道に結石・結晶が詰まっているかもしれません。
(これは尿道閉塞といって命に関わる救急疾患です。)
ですので時々排尿・排便の状態をチェックしてあげましょう。

下にトレータイプのトイレです。


プライバシー保護のため写真をぼかしてあります。
(これはピンボケと言ってカメラマンの腕に関わる問題です。)

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2014年6月25日 水曜日

猫の飼い方③ 

こんにちは。
院長の山中です。

今日はフードについてです。

子猫と老猫では必要とする栄養が違う為
フードも年齢によって選んであげましょう。

子猫のときはどんどん成長するため
カロリーだけでなくタンパク質やミネラルも
多く必要になるため子猫用のフードを与えましょう。
成猫・老猫用のものだとミネラルが制限してあるので
骨の成長によくありません。



あとは食事の回数ですが
小さいときは一回に食べれる量が少なく体の蓄えも少ないため
できれば3~4回に分けて与えた方がいいでしょう。
(子猫はすぐに低血糖や脱水症状になってしまいます。)



また離乳期に色々なものを食べさせると
食物アレルギーになることもあるので
この時期はミルクとフードだけにして
人の食べ物はあげないようにしてください。


そして成猫では小さい時と同じ勢いで食べさせていると
太ってきてしまいます。(特に避妊・去勢後)
個人的には太った猫の方が好きですが
やはり体には良くありませんのでフードの量を
調整してあげましょう。

また成猫では猫下部尿路疾患(FLUTD)といって膀胱炎や尿石症が多くなります。
細菌感染やストレスなども要因になりますが
フードによるところが大きくなります。
尿石症は尿の中に結石のもとになる結晶ができてしまう状態で
膀胱炎や尿管結石、腎結石、尿道に結石・結晶が詰まる尿道閉塞
といった病気を引き起こします。
という訳で成猫になったら尿石症に配慮したフードを選んであげましょう。

左の写真は若い猫に多いストラバイト結晶で
右がシニア猫に多いシュウ酸カルシウム結晶です。





 

最後にシニア以降のフードです。
ほとんどの猫は年とともに腎機能が落ちてきてしまい
最終的に慢性腎不全になってしまいます。
その対策としてシニアフードはミネラルの一つである
リンの含有量を抑えてあります。
これは食事中のリンを抑えることによって腎不全の進行を
遅らせることができる
からです。
またノリなどのリンの多く入っている
ミネラル豊富な食べ物を与えるのは控えましょう。
(我が家の猫はノリが大好きです。)

なお年齢に関わらず人の食べ物はあげない方がいいと思います。

癖がつくと食事の間中、近距離から凝視されることになります。(ネコあるある)

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2014年6月17日 火曜日

猫の飼い方②

おはようございます。院長の山中です。



今日は前回に続いて寄生虫の話です。

ワンちゃんを飼われている方はご存じと思いますが

蚊が広めるフィラリアという血管・心臓に住み着く寄生虫がいます。





この寄生虫の厄介なところは主に肺動脈という

肺へ血液を送っている動脈に寄生するため

虫を駆除すると死んだ虫が肺の血管に詰まってしまうことです。

これは小型の動物では致命的になります。

とはいえ虫を放置しておくと肺や腎臓にダメージがきますし

心臓の中まで虫が住み着き心不全を起こしてしまいます。

なので予防が大切になってきます。



フィラリアというと犬の病気というイメージがありますが

実は猫やフェレットにも感染します。

(まれに人に感染することもあるそうです。)

猫やフェレットは犬よりも感染しにくいようですが体が小さいため感染されると

前述の理由から駆除は困難です。また猫ではフィラリアが原因で咳や呼吸困難を

起こすとも言われています。

なのでもフィラリア予防をした方がいいと思います。

ただ費用もかかりますし、そんなの面倒という人もいると思いますので

その場合はできるだけ蚊に刺されないようにしてあげてください。

ちなみに蚊取り線香や電気蚊取り等は命に関わることはないですが

よだれ・嘔吐・結膜炎・咳の原因になるので控えましょう。



写真はパソコンのモニターを遮るように目線に入ってくるふじ子(猫あるある)

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